整体師とマッサージ師の大きな違いは?できること・できないことを解説

公開日:2023/02/15   最終更新日:2024/10/18


肩こりや腰痛、頭痛、ケガといった体の痛みや不調の改善を目指す職業はいろいろあります。よく整体師とマッサージ師といった言葉を耳にしますが、両者の違いはどこにあるのでしょうか?名称だけ聞いても、違いはよくわかりません。本記事では整体師とマッサージ師との大きな違いについて、それぞれができることを仕事内容と一緒に解説します。

整体師とマッサージ師の違いは?

整体師とマッサージ師の違いは、主に次の2つです。

国家資格が必要かどうか

もっとも大きな違いは、国家資格が必要かどうかです。整体師になるために資格は必要ありません。たとえば、無資格者や未経験者でも開業したり、店舗に採用されたりすれば、整体師の名称を使って働けます。

しかし、実際に働くためには、人間の身体に関する知識やスキルが求められるでしょう。そのため、以下のような資格を取得した上で整体師として働いている人が少なくありません。

・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・カイロプラティック
・リフレクソロジー
・リラクゼーションセラピスト

一方で、マッサージ師を名乗る、マッサージ師として働くためには、あん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要です。資格を取得するためには国から認可を受けた大学や専門学校などで所定のカリキュラムを修了し、さらに国家試験に合格しなければいけません。

保険請求できるかどうか

2つ目の違いは、施術や治療などに対して保険請求できるかどうかです。整体師は保険請求が認められていませんが、国家資格を持つマッサージ師は認められています。ただし、以下のすべての条件に当てはまる場合限定です。

・保健医療機関では治療目的を果たせない
・医師がマッサージ師の施術に同意する
・疾病予防や疲労回復を目的としていない

保険が使えると、患者の支出負担を軽減できるメリットが生まれるでしょう。

整体師にできることとは?仕事内容について

整体とはその名のとおり、身体のバランスを整えることです。手技を用いて骨格のゆがみを直したり、疲労を軽減したりしながら、身体の不調を取り除いていきます。整体院やエステサロン、リラクゼーションサロン、スポーツジムなど活躍する場所は多岐に渡るでしょう。

カイロプラティックやリフレクソロジーなど、ベースとなる手技の種類によって施術の特徴は異なります。カイロプラティックは脊椎を中心にした身体の構造に着目し、ゆがみの矯正や痛みの除去・軽減、機能の改善、自然治癒力の増強などが目的です。WHO(世界保健機関)は補完医療として認めており、アメリカやカナダ、イギリスなどではすでに専門資格として機能しています。

一方のリフレクソロジーは反射学のことで、痛みや不調を感じる部分へ直接的なアプローチを行いません。代わりに手足や顔といった末端部分へ刺激を与え、身体の免疫力向上や不調の改善などを目指します。「身体が温まる」「ストレスの解消」「自然治癒力が高まる」といった効果が期待できるでしょう。

整体師の仕事内容な勤務先や雇用形態などによって異なるものの、主に次のようなものが挙げられます。

・受付と会計
・カウンセリング
・施術
・事務作業

小規模の店舗では、整体師が受付や会計も担当します。電話の応対や予約スケジュールの管理なども含まれるでしょう。お客さんが来店したら、カウンセリングを通して症状や希望を細かく聞き取ります。聞き取った内容をもとにどのように施術するのかを考え、お客さんへ提案。承諾を得られれば、施術に移るのが一般的です。また、カルテの入力や顧客リストの作成など、パソコンを使った事務作業も求められます。

マッサージ師にできることとは?仕事内容について

マッサージ師は国家資格であるあん摩マッサージ指圧師を持っているため、専門的な知識にもとづいた施術を行えます。あん摩は東洋医学をもとにした施術方法で、日本では昔からよく知られていました。

そこへ西洋医学にもとづくマッサージが加わったのが特徴です。「おさえる」「なでる」「もむ」「押す」「叩く」といった技術を組み合わせて、血行改善や不調の緩和を目指します。医師の判断なしで施術ができますが、保険請求する場合は医師の指示が必要です。仕事内容は整体師と同じように、勤務先や雇用形態などによって異なるでしょう。小規模の治療院では受付や会計、事務作業なども求められるかもしれません。

また最近は介護分野での需要が高まっており、とくにリハビリ職として活躍しているマッサージ師もたくさんいます。医療保険が適用となる訪問マッサージを行っている事業所に勤務すると、利用者の自宅へ訪問してマッサージをすることもあるでしょう。

その他の医療系資格について

整体師とマッサージ師のどちらにも共通点がある医療系資格として「柔道整復師」と「鍼灸師」が挙げられます。いずれも国から認められた国家資格であり、特有の専門技術を有していることを証明しています。それぞれの特徴を紹介します。

柔道整復師

「柔道整復師」は、打撲や骨折、ねん挫などの治療を行います。骨折や脱臼を手術することなく元に戻したり、包帯固定やテーピングを行ったりすることから「ほねつぎ」と呼ばれることもあります。薬を使わず、患者の自然治癒力を最大限に活かしたアプローチによって回復へと導きます。

柔道整復は元々柔術の活法から誕生しました。ねん挫や骨折などの初期対処法として定着しています。初動判断に優れていることから、あらゆるスポーツ現場で活躍しています。

手術を行わず、骨や筋肉の働きを活かして治療を進めるため、身体の負担が軽いという特徴があります。近年では、スポーツ医療の領域だけでなく、介護や福祉の分野においても注目度が高まっています。

柔道整復師は国家資格であり、柔道整復師になるためには文部科学省や厚生労働省による認可を受けた専門学校・大学で学ぶ必要があります。その上で、国家資格に合格しなければなりません。

柔道整復師の資格を取得することで開業権が認められ、保険適用の治療が行えるようになります。

鍼灸師

鍼灸師とは、鍼や灸を使って全身のツボに刺激を与えて治療を行う仕事です。鍼灸師という資格はなく「はり師」と「きゅう師」という2つの国家資格を取得している方を鍼灸師と呼びます。

鍼灸師の治療は、医療機器や薬を使う西洋医学に基づく治療とは違い、東洋医学の理論に基づいています。鍼や灸を使って適切にツボを刺激することで、人が本来持つ自然治癒力を高めることを目指しています。つまり、鍼灸師は東洋医学のプロフェッショナルと言えるでしょう。

西洋医学のように薬を扱わないので、赤ちゃんや妊婦、授乳中の女性にも施術することができます。鍼灸師の多くは治療院に勤めていますが、中にはプロスポーツチームに帯同するトレーナーとして働く方もいます。鍼灸師は、保険請求が可能な開業が認められており、経験を積んで独立するケースが多く見受けられます。

まとめ

整体師とマッサージ師は同じような職業だとイメージしがちですが、明確な違いがあります。整体師は無資格でも名乗ったり、職業に就いたりできますが、マッサージ師にはあん摩マッサージ指圧師の国家資格が必須です。また保険請求の可否も大きな違いといえるでしょう。また整体師とひと口にいっても、ベースとなる手技の種類によって施術やアプローチ方法は異なります。

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